2016年11月臨時号

2016/11/11

無許可持ち込み土砂崩落問題
 ダンプ1000台分か!?
  捨て逃げ許さない





■土砂崩落で府が勧告

 日野地区の宗教法人「成田山不動院河内長野別院」敷地に無許可で大量の土砂が搬入され、9月、隣接する石川に土砂崩れを起こし、河川水が下流まで濁る事態が発生しました。

 宗教法人の場所は、関西サイクルスポーツセンターの向かい側。この場所にダンプで大量に持ち込まれた土砂が9月下旬、真下にある石川に崩落し、河川を一時は堰き止めるほどになりました。

 これまで府と河内長野市は、土砂搬入が発覚した7月21日から事業者へ再三指導を行ってきましたが、改善されないことから、府は宗教法人と事業者に対し9月29日付で砂防法に基づいて搬入中止と撤去を勧告。30日付で森林法に基づく指導書を通知しました。

 10月に入り、府の指導で事業者が河川に小型の重機を投入し、流出した土砂にブルーシートをかぶせたうえで、さらなる流出を防ぎ、崩落した土砂を1㌧土嚢に入れ、川の横に寄せる作業をさせてきました。そのことで河川水が下流地域まで濁ることは収まりましたが、あくまでも応急処置です。土砂は河川に流出した分だけでも3千立方㍍(ダンプ約500台分)以上、敷地内及び高低差約200mの山の斜面にも大量の土砂があり、その倍の量が持ち込まれたのではないかと推定されています。10月7日には市議会として現場視察に行き、土砂の崩落状況やその後の作業を確認してきました。

 下流にある西代浄水場は、石川からの通常取水量は河内長野市全体の7~8%を占めています。河川水の濁りのためいったん取水を中止し、他で補ってきました。

 
宗教法人の入口(10/4)
 
座禅修行中につき関係者以外立入禁止(10/7)



土砂搬入に関わった事業者が姿を消し、工事が中断している現場
かろうじて水の流れが作られただけになっています(10/28)


■府に対し対策申し入れ … 日本共産党

  この場所は14年前にも同様のことがあり、日本共産党の丹羽実議員が議会で取り上げています。そのときよりも土砂の量ははるかに多い状況です。河川だけでなく山の斜面にも多くの土砂が残っており、大雨でさらに河川に崩落する恐れがあります。

 日本共産党市会議員団は10月6日、府富田林土木事務所に対して次の申し入れを行いました。
  1. これ以上土砂は入れさせない
  2. 府が定期的な水質検査を行い公表する
  3. 崩落した土砂が溶け出さないように措置を行わせる
  4. 河川や水路上の土砂を撤去させる
  5. 崩落が起こらないよう安全工事を行わせる
などです。


 河内長野市は10月14日、水質検査結果(10月4日採水)を公表。その後、24日には51項目に及ぶ水質検査結果を公表。いずれも問題ないことから、取水停止を続けていた西代浄水場からの水道水の供給を24日付けで29日ぶりに再開しました。

花の文化園の下 (10/14)

泥のような土 

 10月14日に日本共産党議員団は崩落現場の下流3カ所の状況を調査したところ、濁りは改善していますが、川縁や草陰など流れの弱いところには、泥のような土が堆積していました。自然環境への影響が問題です。

 水質が問題ないから良いでは済まされません。宗教法人と事業者には、すでに川下へも流出した土も回収させることころまで原状回復させなければなりません。



 崩落した土砂が1トン土嚢に詰められ
川岸に置かれています(10/28)

崩れ落ちた土砂にブルーシートが掛けられこれ以上泥が溶け出さないようにしています。
川幅は1mありません。(10/28) 

 

ブルーシートをかぶせた土砂より上流には自然ダム湖が出来ています(10/28)


 



■搬入事業者が姿を消す

 10月25日には府から市環境政策課へ、土砂搬入にかかわった事業者と連絡が取れなくなっていると報告がありました。
 日本共産党議員団は10月28日、河川に流れ出た土砂がどこまで片付けられたのか、河川の崩落現場へ確認に行ってきました。
 土砂流出を防ぐ現場は、応急処置の作業途中で放置されていました。この周辺は流れる水は透明でしたが、川岸には泥が絡みついているように残されています。土砂の山を超えると、自然ダム湖ができたままの状態でした。 
 姿を消した事業者を押さえることができるのか、地権者の宗教法人に最後まで責任を取らせることができるのか、府・市・警察は早急に対応すべきです。「捨て得」、「捨て逃げ」を許さない構えが次の事件を発生させないことにつながります。

 河内長野市議会としても、11月1日、府に対して申し入れを行いました。

 日本共産党議員団は、決して捨て逃げは許さない、必ず宗教法人と事業者に原状回復させる立場で府や市に対応させるとともに、府がもっと早い時点で対応できなかったのかという問題の検証や、自然環境への影響なども調査していきます。

ホタルは大丈夫?   専門家に聞く

 日野地区は初夏にホタルが乱舞する河内長野市でも誇るべき自然が豊かな地域です。今回の泥のような土砂流出でホタルへの影響が懸念されます。日本共産党市会議員団は、事件前から現地を調査もされている水生生物の専門家からお話をお聞きしました。

 ホタルについては事件後も幼虫も現認もしており、大丈夫でしょうとの事。ホタルの餌となるカワニナは有機物などを餌にしており比較的汚れた所(富栄養)に生息しており、ホタルの最大の敵は護岸工事や水路のコンクリート化だそうです。
 しかしながら、危険にさらされているのは砂に潜って生活している「カマツカ」という魚で同時にその魚の餌になる「フタスジモンカゲロウ」の幼虫も危ない。また大阪府の絶滅危惧種に指定されている「シマドジョウ」も危険にさらされているとのことでした。

 いずれにしても、ホタルが大丈夫でも、その他の水生生物が危険にさらされており、自然は破壊されているのが実態です。
 なんとしても砂の上にかぶった泥の撤去もさせなければなりません。


 新美濃出橋付近の川岸 泥が堆積しています(10/14)

カワニナ 



※ 大阪府は事業者と宗教法人に、勧告書の回答期限を11月4日としていましたが、11月11日に宗教法人は別の事業者を投入して土砂を除去する工事を再開している模様です。今後も、最後まで原状回復させるよう注視してまいります。


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